住所 | 大阪府堺市中区学園町1-1 中百舌鳥キャンパス B6棟 |
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電話番号 | 0722549236 |
URL | https://www.omu.ac.jp/eng/ |
daisuke.sasaki@omu.ac.jp |
大阪公立大学は,2022年に大阪府立大学と大阪市立大学が統合して設立された新しい大学です.大阪公立大学の航空宇宙工学科は,大阪府立大学工学域機械系学類航空宇宙工学課程からそのまま引き継がれています.
航空機や宇宙機の開発には,多様な分野の技術や知識が必要です.流体力学,構造工学,推進工学,制御工学,宇宙工学,システム工学,航法測位技術など多岐にわたります.航空宇宙工学科では,これらの工学分野を教育・研究の専門領域としています.
大学院(航空宇宙海洋系専攻航空宇宙工学分野)では,各分野の先端的技術課題を研究し,航空機や宇宙機を設計・製造・運用するための基礎理論と先端技術を修得します.航空宇宙の専門分野を深く極めると同時に,航空宇宙工学分野の特質である,物事を総合的に考える能力とシステムデザイン能力の双方を育成しています.そのために,航空宇宙流体力学,航空宇宙構造工学,航空宇宙推進工学,航空宇宙システム工学,航空宇宙制御工学,宇宙工学と6つの専門分野において研究を通して技術を身につけます.航空宇宙工学分野の教員は,各専門分野における専門家として様々な最先端研究に従事していて,学生の教育・研究を担当しています.
また,航空宇宙工学分野に関連した学生の課外活動のサポートをしています.その課外活動として,堺・風車の会と小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)を以降で紹介します.
WindMill Club(堺・風車の会)では人力飛行機の設計から制作,運用までを全て自分たちで行なっています.彼らの目標は毎年夏に開催される讀賣テレビ主催の「鳥人間コンテスト」での優勝及び学生記録の更新です.1994年に初出場を果たして以来,これまで20回以上出場し,6度の優勝を果たしています.彼らは「気合だあ」を合言葉に今日も挑戦し続けます.
小型宇宙機システム研究センター(SSSRC)では,学生が中心となって超小型人工衛星・超小型ロケットなどの宇宙機を開発しています.学生がカリキュラムをつくり,上級生が下級生に対して宇宙機の開発に必要な技術を教える活動や,地域の方々に宇宙を身近に感じてもらうためのアウトリーチ活動も行っています.
ココナッツ油を原料として,我々が開発した共溶媒法で脂肪酸エステルを生成すると,他の油脂とは異なり,C6, C8, C10, C12の短鎖脂肪酸エステルは持続可能な航空燃料(SAF)として,C14, C16, C18の長鎖脂肪酸エステルはバイオディーゼル燃料(BDF)として使用可能です.さらに,製造したSAFと航空機原油系燃料のケロシンの混合比が50%-50%であっても十分に小型ジェットエンジンの燃料として利用可能です.
現在,研究開発している炭素鎖のC6からC12の脂肪酸エステルのSAFへの利用は,これまで世界で検討されてきたSAF製造法の(1)フィッシャートロプシュ法,(2)廃食用油および植物油の水素化分解,(3)アルコールのオリゴマー,などとは全く異なる製造法です.これら(1),(2),(3)の製造法でSAFを製造するには,水素を多量に使用し,さらに反応が300-400℃の高温であるため,製造反応での消費エネルギーが大きくなってしまいます.一方で,本製造手法は常温・常圧での反応であり,従来法と比べて消費エネルギーと生成プロセスからの廃棄物の排出量の少ない共溶媒法を用いています.そのため,従来のSAFの製造コストに対して,1/10のコストで,消費エネルギーは1/3で,原料からSAFとBDFへの収率は従来手法の3倍の97%以上(BDFとSAFの燃料基準以上)を達成できています.
人工衛星の電位を計測するセンサを展示しています!我々のセンサは、光を用いた独自の計測方式を採用しており、放射線耐性が高く、超軽量かつコンパクトな設計で、宇宙機の帯電を安全に計測することができます。このセンサを導入することで、人工衛星の故障率を低減し、長寿命化に貢献します。また、宇宙保険や宇宙天気予報にも活用可能です。ぜひ、実演を通じてその性能を体感してください。
2023年には、宇宙保険の支払い額が過去最高の1800億円に達しました。持続可能な宇宙開発やビジネスのためには、宇宙環境を3次元でリアルタイムに計測する必要があります。
人工衛星と宇宙空間の間には大きな電位差が存在し、これは1日の間に大きく変動します。そのため、人工衛星は静電気による事故の脅威にさらされています。衛星の電位を正確に測定することは、安全な設計や高機能化、さらにコスト削減において重要です。しかし、地上産業で使用されている電位センサは、電子技術を利用して検知を行うため、放射線や荷電粒子が多い宇宙空間では使用が困難です。
私たちが開発中のフォトニック電位センサは、宇宙事業者の長年のペインであった静電気リスクを解消するもので、世界的にも類のないものとなります。